にんじん (岩波文庫)

にんじん (岩波文庫)

黙視してはいけない家族がそこに描かれているのだが、淡々とそれを描く作者によってそんなことは自然の中にとかされてしまう。ギリギリのところで、しかしたしかに成立している家族。感情の表し方が下手なわけじゃなく、わざとそうやってふるまっているわけじゃないんだけど、愛しているのに大嫌い。愛しているから憎しみをもつ。