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- 作者: 伊藤益
- 出版社/メーカー: 北樹出版
- 発売日: 2001/01
- メディア: ハードカバー
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一方、現代はどうであろうか。確かに現代でも危険な旅は存在する。しかし、我々の多くが「旅」もしくは「旅行」と呼ぶものは、そのような危険性を伴わないし、期間も短い。それどころか、友人や家族との旅行においては汝を失うことすらありえない。我と汝をつなぐ「場所」が変わることによって、そこに新たな我と汝の関係が生まれるともいえるだろう。また、所謂一人旅に関しては、その動機はたいてい汝を失ったというものであり、旅をするということ自体に汝の消失、及び自己の存在のゆらぎは生まれない。
その点に留意すると、古代日本人の旅の異様さが浮かび上がってくる。